Memo.001 サンライズ (2007/12/23・テツ前夜)


2007年12月23日 クリスマスイブを翌日に控えたこの日も私は九州への出張に向け、荷造りをしていた。
ここ2・3年、平均月に2回以上の割合で九州へ出張している。通算すると3桁の大台に乗るのかも知れない。
でも今日の出張は、これまでのどれとも違うのである。
今までは九州への出張は99.9%が飛行機利用であった。羽田から福岡空港まで2時間弱。前後の移動を入れても4〜5時間で目的地には着くのである。
しかし今回は、密かにある計画を企てていた。
寝台列車を使って九州へ行くのである!
サンライズエクスプレス。東京発の寝台列車に乗って、岡山で山陽新幹線に乗換えて博多まで行く。
一応客先とは翌日の午後の待ち合わせであるから、余裕で行ける。

思い起こせば十数年前、私がまだ駆け出しのサラリーマンの頃東京本社から大阪営業所への出張があった。
大阪の客先へは翌日の午前中入りであり、私は早朝の新幹線で移動するつもりだった。しかし上司曰く
「じゃあ、今晩23時の銀河で行くから」
「へ、銀河?何すか、それ?」
「寝台列車だよ」
「えーーーシンダイ?」
「そうだよ。銀河は東京23時発。大阪には7時過ぎに着から間に合うよ」
「いやいや、そういう問題じゃないっしょ」
「銀河だったら時間を有効に使えるんだよ!ゆっくりお酒も飲めるしね♪」
「はぁ」
てな具合で初寝台を体験したのが20代。あれから幾星霜・・・
いつしか自分も当時の上司の年代になり、時間・効率よりも何かしら心の拠り所を求める年頃になったということか。

ということはさておき、とりあえずチョットした冒険心も手伝って、ン十年振りの夜行の旅を体験してみようと思い立ったのである。
チケットを取ったのは一週間ほど前。ネットで色々調べて、今時の寝台車には個室があり(昔からあったかも知れないが)、ソロという個室が普通のB寝台の料金で利用できるのを知った。
まあクリスマスといっても特にイベントがある訳でなし。しかも仕事とあっちゃ、楽しまなソンソン。という程度のノリであった。

しかし、ここでちょっとしたイベント発生。
23日夕方、お客さんの方でトラブルがあり、「至急、福岡に来てくれ!!!」との連絡。
普通だったら、クリスマスイブということもあり社員も尻込みする所。
「わっかりました!今晩の夜行で行きます!明日の午前中には着きます!」
「マジですか?助かります〜」
いや、元々予定通りの移動プランだったのが怪我の功名。大手を振って寝台特急を堪能できるのである。
かくして東京22時ちょうど発。サンライズエクスプレスにどっさり食料・アルコールをどっさり買い込んで乗り込んだのである。


ソロの室内はやっぱり狭かった・・・
車内は全体的に木目調のさながら「走るホテル」のデザインなのであるが、ソロは「走るカプセルホテル」といった趣である。
しかし贅沢は言ってられない。狭いスペースにビールとおつまみを並べ、独り宴会を始めることにする。
嬉しいことにハンガーの備え付け。
しかし真冬のこの時期、コートを掛けるには室内の高さがちょっと・・・
部屋の対角線めいっぱいに引いて撮ってみるが


じっとしていられず車内を探検。
「銀河」に乗った頃の寝台列車のイメージとはガラリと変わっている。
グッドデザイン賞受賞もうなづける。
調子に乗ってこんな所まで・・・
ちなみに6号車と13号車は喫煙車で、デッキには灰皿が備え付けられている。
私は床に就くまで3度ほど灰皿まで往復した。
部屋ナンバー29は2階の9番目という意味。
ロックはデジタルナンバーで暗証番号をセットする仕組み。
車内販売は軽い飲料の自販機があるだけなので、ドリンク・食料類はあらかじめ駅の売店で調達しておく必要がある。
燃料切れのないように・・・
岡山には早朝6時27分着。ウエストひかりに乗換えていざ博多へ。
博多に着いたらすっかりクリスマスムード一色であった。
客先には9時前に着き、さすがにビックリされた。
今までは、出張といえど仕事中心であまり娯楽的なことは考えず、自宅と客先の間をいかに短時間で移動することに腐心してきた。
しかしこの一件で味をしめた私は、その後どっぷり九州を堪能し、やがてJR・私鉄の全線を完乗することになるのである。
もちろん、2007年年末の私は明くる年のプロジェクトを知る由もない。

旅程
2007/12/23 22:00 東京 サンライズ出雲
2007/12/24 06:27 岡山
06:48 ひかりレールスター
08:35 博多

参考リンク
ほどちゃんの島−寝台特急サンライズ出雲
JRおでかけネット サンライズ出雲・瀬戸 285系


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